アキラナウェイ

アメリカン・ソルジャーのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

アメリカン・ソルジャー(2017年製作の映画)
3.7
イラク・アフガン戦争の帰還兵のうち精神的な負傷を負ったのは50万人。毎年250名以上が自殺しているという。

原作は「帰還兵はなぜ自殺するのか」という書籍。

15ヶ月の従軍期間を終え、アダム(マイルズ・テラー)は妻サスキア(ヘイリー・ベネット)と2人の子ども達の元へ無事に帰還した。平穏を装っていたが、内面では戦死してしまったドスターと半身付随になってしまったエモリーの事で心に深い傷を負っていた。

辛いとは覚悟していたが本当に辛かった。

帰還兵のPTSDを追体験する感覚。
睡眠障害、幻覚、人格変化、自殺衝動…。

医療的ケアを求めても待合室は帰還兵で溢れかえり、実際に診てもらえるのは半年先か、9ヶ月先か…。
「その頃までここにいる奴らが『もつ』と思うか!?」
アダムの怒りが切迫したその内面を表している。

派兵されて
人を殺して
勲章をもらって
友を亡くして
心が壊れる

あまりに大きな代償。

記憶障害に悩まされるソロ(ボーラ・コール)が特に可哀想で。色んな事が覚えていられない。人が変わった様に暴れ出し、妻も離れて行ってしまう。

行って帰ってきたら戦争が終わる訳じゃない。
帰って来てからも心はまだ戦地に残っている。

マイルズ・テラーは辛い映画が多いな…。
「オンリー・ザ・ブレイブ」同様、友を亡くし自分は生き残ってしまった辛さを見事な演技力で魅せる。

妻を演じたヘイリー・ベネットがジェニファー・ローレンスにそっくりでびっくり。

ああ、こんなに辛く苦しいのに世界のどこかで爆弾は爆発しているし、銃撃は止まらない。どうしたらいいだろう。
どうも出来ないけど、戦争は何も生み出さず、命も心も奪っていく事を忘れずに生きていくしかない。

ちょっと気分が落ち込み過ぎたので、次は明るい映画を観よう!!
そうだ、ワイスピにしよう!!