フライ

アメリカン・ソルジャーのフライのレビュー・感想・評価

アメリカン・ソルジャー(2017年製作の映画)
4.0
実話を元にアメリカンスナイパーの脚本家ジェイソン・ホールが製作した、帰還兵の苦悩を描いたストーリーは、観ている自分迄精神を病みそうな内容に、とても辛く悲しい気分になる作品。

イラクに派兵された帰還兵を描いた本作の内容は、戦闘シーンは殆ど無く、帰還してからのマイケル・マイヤーズが演じるアダムを中心に仲間や、家族、死んだ仲間の遺族の苦悩を色濃く描いているのだが、かなり衝撃的な内容で、観ていてとても辛かった。
PTSDに苦しむ帰還兵のケアは、人数の多さに中々治療されず順番が来た時には悪化し、最悪自殺に至ると言う悲惨な状況。更には治療の為のアンケートに、過去のトラウマを思い出すシーンは本末転倒にも感じたし、アダムの奥さんがアンケートを見つけ"自殺したくなる"と言う欄にチェックがされていたのを見た時の気持ちを考えると、何とも言えない絶望感に襲われた。

本作を見て、太平洋戦争時、日本兵もPTSDに苦しむ人が沢山いたのに、国が隠蔽していた事をあるドキュメンタリーを見て知り、実は知らないだけで身近に沢山いた事を思い出した。更に子供の頃亡くなった祖父に興味本意で、戦争の事をしつこく聞いて困らせた事が頭を過ぎり、とても後悔し、自分自身に嫌悪感を感じた。

ストーリー的にかなり地味で淡々と進んで行く上、かなり重い内容と、辛いシーンの連続なので心が折れそうになるが、実話としてのリアルな内容は、見て後悔は無い映画だった。
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