みほみほ

ブレス しあわせの呼吸のみほみほのレビュー・感想・評価

ブレス しあわせの呼吸(2017年製作の映画)
4.1
🌬2021年243本目🌬(字幕)

ポリオウイルスがここまで恐ろしいものだとは…。どこかで聞いた事のあるような気がするウイルスだけど、身体にどんな影響をもたらすかまでは知らなかった。

結婚からまもなく、夫婦のどちらかがあの状態になってしまったら、ロビンの奥さんのように献身的かつ強く居られる人は本当に少ないと思う。家族の思いが強くなければ、家に帰る事だって叶わなかったし、ロビンの発想が生まれる事もなかった。

この映画の素晴らしいところは、自分の生活を快適にする為に、ふと思いついた事が、同じ病で悩む多くの患者の生き方に変化と救いをもたらした事。想いが生んだ奇跡が、頭の固い医師達を動かし、新たな発想を提案出来たロビンの功績はとてつもなく大きい。

ロビンの絶望は計り知れないが、気丈に振舞っている奥さんの精神状態も心配だったし、息子のジョナサンも成長するにつれて、父の病の深刻さを理解していくのは辛かった。

そんな両親を見ながら育った彼が、映画製作者になってこの映画を製作するというのもまた感動。

安全に生かしておく為に、合理的で機械的な施設に入院する複数の患者を見た時に、人権も何も感じられなくて、人間って恐ろしいなと思ってしまった。多分一番ショックを受けたのは、あの光景を目撃したロビン自身だったと思う。

病に奪われるものは大きいが、どう生きるか、どう過ごすか、そこを尊重されるかされないかで、ここまで生きる景色が変わるのだと衝撃を受けた。奥さんの強い愛と根性に拍手。

最後は受け入れ難い悲しさだったが、生を選び懸命に生きたロビンを理解している家族だからこその尊重した結果だと思うので、家族の愛に泣いた。

殺伐とした医療行為に尊厳をもたらし、革命を与えたロビンと、それを支えた家族、そしてロビンの声を聴き、発明に協力した技術者や、友人や親戚の温かさが心に染みた。特に双子の義兄達の存在感が良かった。
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