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ブレス しあわせの呼吸のkassyのネタバレレビュー・内容・結末

ブレス しあわせの呼吸(2017年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

試写会にて。

ブリジット・ジョーンズの日記などを手がけたプロデューサー、ジョナサン・カヴェンデッシュ氏の両親の実話。父のロビンはポリオに感染し、首から下が麻痺の状態になってしまう。ほぼ全身不随のロビンを、妻のダイアナが献身的に支え、死にたいと渇望していたロビンは次第に元気を取り戻していく。

感動の実話で、アンドリュー・ガーフィールドの熱演も素晴らしいのだが、
どうも演出に起伏がなく、特に起承転結の"起承"までが非常にかったるさを感じて時間の進みが遅く感じた。
話はどんどん飛んでいき、ろくな人物紹介もないままなので、最後の最後まで主要なキャラの顔が一向に覚えられない。場面ごとの説明も不足しており、後からキャラクターのセリフで知らされる事もある。映像で見せるべきでは…?

しかし、"転"でこの映画が本当に描きたい事が描かれるようになると途端に面白くなる。
障害者を施設に囚人のように入れられ、社会から隔離されてないようなものとされる。そんな経験を経て、障害者にも人権がある事を、ロビンは強く主張する。
そしてその主張が出来たのは、妻や周りの人の支えに他ならない。
ショッキングなドイツの施設の場面を見た後だけに、彼の主張は殊更に心に刺さるのだ。改めて考えさせられる。
また、スペインでの話など、転でのエピソードはどれも素晴らしい。

"結"になると今度はなんだかダラダラし始める。どういう終わりを迎え、どういう気持ちで周りもその時を迎えるかは大事だ。
しかし、演出がやや過剰。重ねに重ねすぎである。

家族の献身介護を描いた博士と彼女のセオリーと考えると、この映画はほぼ純愛で、ほとんどダーティーな部分は出てこない。
金はどうしていたのか。最後までわからない。
性欲はどうしていたのか。言葉だけで大した場面は出てこない。
思うに、家族の話なので、あまり悪く描けなかったのではないか?
息子ジョナサンにとって、本当に良い思い出で楽しかった事ばかりだったのかな?
と勘繰ってしまう。

後半は面白かったが、前半が残念に感じた映画だった。
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