シンタロー

イナゴの日のシンタローのレビュー・感想・評価

イナゴの日(1975年製作の映画)
3.6
ジョン・シュレシンジャー監督によるカルトムービーの怪作。スターに憧れるエキストラの女性フェイ、映画会社に就職したての若者トッド、怪しい信仰宗教の信者ホーマーがメイン人物。フェイは、気まぐれ、思わせぶり、情緒不安定でエキセントリックな性格…このファムファタールなヒロインが、周囲の男達を翻弄し破綻させていく物語、として進んでいきます。ホーマーが登場する中盤から徐々に不穏な空気が流れ出し…父親の危篤に発狂して歌い出すフェイ…夜のバーベキューで嫉妬と性欲が爆発してフェイをレイプしようとするトッド…父親を救うために明らかにヤバい宗教にフェイを参加させるホーマー…葬儀代を稼ぐために娼館で働き出すフェイ…皆さんなかなかの壊れっぷり。父の死を機に同棲を始めるフェイとホーマー…家事は全部ホーマーに任せっぱなしで、ホーマーの貯蓄を食い潰す最低な女フェイ。二人の歪な関係が崩壊を迎える終盤から、あまりにもカオスなクライマックスへ…タイトルの意味も判明します…。
序盤の眠くなるような展開が残念で、2時間半近くあるけどカット出来そうなエピソードたくさんあったような…胸糞な闘鶏シーンなんか必要だった?あと、フェイ役のカレン・ブラック…当時よく出てたんでアメリカでは人気だったんだろうけど、ちょっとムリでした…まぁ性悪な役なんで、これくらいが丁度いいのかもしれないけど、なんでそんなにモテるの?って感じです。ホーマー役のドナルド・サザーランドは流石の存在感で、この人が出てくるまではホント退屈。トラウマ抱えた常に挙動不審の宗教家…「私は時々何もかも破壊したくなるのです」の告白がとんでもないことになるクライマックスへ繋がる…ゾクゾクしました。デヴィッド・リンチやダーレン・アロノフスキーなんかに影響与えたのではないでしょうか。ハリウッドの闇、虚栄…夢破れる者たち…集団恐怖、群像心理…見応えあっただけに、もう少しどうにかなっただろって感じが残念。
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