MayumiI

フジコ・ヘミングの時間のMayumiIのレビュー・感想・評価

フジコ・ヘミングの時間(2018年製作の映画)
4.5
世界各地でコンサートを開催するフジコ・ヘミングのドキュメンタリー。
2018年の作品なので、当時、85歳くらいかな。

ロシア系スウェーデン人の父と日本人の母の血を受け継ぎ、嫌がらせを受けた少女時代。
ベルリンに留学していた母は、彼女に厳しくピアノの手ほどきをする。
さらに「天才少女」だともてはやされるが、中耳炎の影響で片耳の聴力を失う。また、国籍がないために、留学が叶わず、難民としてベルリン大学に留学したのは30歳の頃だった。
それからも、貧しくて不遇の時代は続くが、どんなに厳しい状況、環境においても彼女はピアノを諦めることはなかった。
彼女が脚光を浴びるのは、60歳を過ぎてから…。

正直、「フジコ・ヘミング=ラ・カンパネラ」位のイメージしかなかったが、前々から「頭の中」を覗いてみたい人の一人だった。

パリ、京都、アメリカ…。
世界各地にある彼女の家。
部屋の中は本当に素敵なものでいっぱいで心を許せる友人たちやかわいい猫や犬たちが待っている。
どこにいても、異邦人で、その上片耳まで不自由な彼女の孤独は想像を絶するが、心は今もティーンエイジャーのまま。天国に行けば愛する人たちに、また、会えることを楽しみにしている。
彼女の心の中には、圧倒的な孤独や絶望、と同時に、彼女が少女の頃つけていた絵日記のように、キラキラとした世界が今も続いているような気がした。
音楽のことは、よくわからないが、本当に多面的で魅力的な人だと思った。
「天国は幸せしかないってなんかつまんないじゃない。」
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