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トップガン マーヴェリックのIDEAコメント休止中のレビュー・感想・評価

4.9
実に2年弱の大幅な公開延期を余儀なくされた今作がようやくスクリーンに。

先日のカンヌ国際映画祭でのワールドプレミアにて「ストリーミングなどの他の方法での公開は考えなかったのか?」と問われたトム・クルーズ、彼は「それは絶対にあり得なかった。」と断言したそうだ。
その彼の映画館での映画体験にかける熱い情熱が今作でも遺憾なく発揮されている。

昔も今も、映画館での映画体験は貴重でかけがえのないもの。
どことは言わないが某大手スタジオのストリーミング偏重の態度にイチ映画ファンとして憤怒していたところであるので、ストリーミングに流れた観客を映画館に引き戻す意味でも実に意義深いコメントであったと強く思う。

少し脱線してしまったが、さて今作。

冒頭のDanjer Zoneのミュージックに乗せた発艦シーンやNinjaで駆けるマーヴェリックなど、前作の香りを纏わせファンの期待に誠実に寄り添いつつ(日本人としては、マーヴェリックのレザージャケットの背中にわが国の日の丸を確認できただけで嬉しさが大爆発)、コンテンツが飽和状態である今の時代の要請に応えうるだけの十分すぎるアップグレードを引っ提げて、今ここにトップガン達が帰ってきた。

もはや唸るほかないスカイアクションに加え、もう一つの柱はキャラクターたちの想いの揺れ動き。かつての相棒グースの息子であるルースターとの確執は、超次元のパイロットであるマーヴェリックもまた悩める一人の人間であるということを実感させる。
また盟友アイスマンとの熱い抱擁は、時を経ても変わらない愛に近いような友情を観客の心に響かせる。

「凄い。」
この一言しか出ないほど圧倒される今作は、ただの続編にあらず。
前作の知名度がどうの、36年ぶりの続編だからどうのなどとそんなことは一切問題ではない。
マッハ10で空を切り裂く力強い画作り、そして今と昔が見事に同居する秀逸な脚本に、仮に前作を観ていなくとも必ずや心を奪われるはず。
これはもはや、今撮ることのできる総合芸術たる映画としての一つの到達点である。

以上、ハッキリ申し上げて、劇場で観る以外の選択肢はないと思う。
観客のために文字通り命懸けで作り上げた作品、それをリアルタイムで体感できることのありがたみを噛み締めつつ是非劇場でご覧いただきたい。

誇りを胸に刻み彼らは飛ぶ。
極超音速の、その先へ。


(※)可能ならばIMAXシアターが超おすすめ!戦闘機のエンジン音で座席が震える。心も震える。

(※)パンフレットは当然おすすめ!今作の制作過程など興味深い話が盛りだくさん。劇場での高揚感が冷めぬうちにじっくりお楽しみあれ。


(2022.6.18 追記)
2度目もIMAXシアターで鑑賞。
やはり大変に素晴らしい作品だと思ったが、一つ問題が。配信やレンタルではこの魅力を十分に享受できない点だ。
脚本はシンプルにし、本物の映像や音響を堪能できるような作りにしたがゆえ、それらを劇場で体験できない場合はそこまでの感動は得られないように感じる。
初回鑑賞時(2022.5.27)には最高の映画体験に対して☆5.0を付けたが、「劇場の方が良い」ではなく「劇場でなければならない」レベルで、他作よりも鑑賞環境への依存度が非常に高いため、いつでも・どんな視聴方法でも楽しめる作品ではないということから☆4.9とした。

(2022.9.23 追記)
Blu-rayも予約したものの、終映間近とのことで駆け込みIMAX。
前作との連続上映企画にも惹かれたが、やはりIMAXでの爆音ジェットエンジンはたまらない。