トップガンが公開された当時は世界は平和で能天気な時代で、自身も世間知らずな学生だったんで、戦闘機やミサイルを兵器ではなく単純にカッコイイなぁなんて無邪気に見れた。
ところがロシアのウクライナ侵攻のニュースが毎日流れてくる、まるで映画が現実の世界を追い越してしまった眩暈がするような今の状況では、トマホークミサイルが戦艦から発射され、戦闘機が出撃するシーンを見ると、日々流される戦場からのニュース映像がフラッシュバックし映画として純粋に楽しめなくなってしまう。
とは言えトムクルーズのあの男女関係なく相手をとろけさせてしまう眼差しは40年近くたった今も十分効果的で、青春時代のヒーローは今でも魅力的で彼の存在感は絶大だった。
ストーリーもよく練りこまれており、時代遅れのパイロットが世の中の流れに抗い、恋人に励まされ自分の信念を貫きついには達成困難を思われたミッションを成功させると言った観客が思わず応援したくなるハリウッド映画が最も得意とするパターン。 但し単なる娯楽映画だけではないと思わせたシーンもあった。 それは、マーベリックが問題を起こし教官の任を解かれてしまう。すべてを諦めかけたトムに恋人役のジェニファーコネリーは、あなたは諦めないと励ます。ところがその結果彼は命を懸けた任務を自ら行わざるを得ない状況になってしまう。その事をジェニファーに告げ夕暮れに二人佇むシーンは何のセリフもなく演じられるのだが、見る者に二人の複雑な気持ちを想像させ、思わず胸が熱くなった。
他にも感情を揺さぶられるシーンがいくつかあり、昔の大ヒット映画の遺産だけで乗り切ろうといった浅い映画ではなく、時を経た分しっかりと深みのある大人な続編に仕上がって見る価値十分の一作だった。
