げんぐ

トップガン マーヴェリックのげんぐのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

「続編映画としては完璧!」観終わった後の最初の感想はこれだった。
映画の冒頭からエンドロールまで全てにおいて前作へのオマージュに溢れていて、今まで続編を作らなかった理由、今続編を作った意味を納得させてくれた。続編とリメイクを同時に観せられている様な映画。

「DANGER ZONE」と共に流れる冒頭に前作トップガンなる映画の魅力が全て詰まっていると自分は思っているのだが、それを同じ曲で同じ様なカット、でもそこに映る戦闘機は今の最新の戦闘機。これが同じ様にマーヴェリックという続編のスタンスを端的に表している。
次のシーンから登場する主人公のマーヴェリックが、世界最速の男を描く『ライトスタッフ』のチャック・イェーガーを彷彿させるテストパイロットとして描く事で、歳は重ねても当時と変わらない、やんちゃなキャラクターとして印象付ける。
間隔が空いて作られる続編映画の大半が世代交代をさせるが、この作品は『マーヴェリック(トム・クルーズ)が主役なんだぞ!』って事を強く印象付ける。
この頭の2つのシーンだけでこの映画が『今のトップガンを作るんだ!』っていう事の如実に語っている。

その他にも前作と重ね合わせる様なシーンが多分に織り込まれている。それが戦闘機のドックファイトシーンだったり、少々古臭く感じる80年代風のラブロマンスなど、画だけではなくストーリーでも感じさせてくれる。少々ご都合主義的ではあるが、そういうところも含めて「あぁ、トップガンだなぁ」と。
「でも、トップガンといったらやっぱりF-14じゃない?」満足感を得つつもそんな物足なさを感じていたのだが、そんな事はお見通しとばかりに終盤にF-14を引っ張り出されたのには「やられた!」の一言。

作中でも語られていたが、無人機やドローン等が現実の戦争でも戦闘機から置き換わりつつある今がトップガンという戦闘機乗りのお話が作れる最後のタイミングなのかもしれない。
トム自身の年齢や、前作の相棒グースとして登場するルースターの説得力、そして脚本。色々なものが揃って続編を作るのは今しか無くて、この先も無い。この映画を作ると決めた人たちはそんな事を思ったのではなかろうか。

前作が好きでない人がそれも観ても好きにはなれない。けど、前作のファンに対しては「これが観たかった!」って言わせるだけの内容。
前作の公開から36年という今だからこそ価値があって、これが10年後に前作と併せて一気に鑑賞したら同じ様な感想はきっと出てこない。まさに今観るべき映画だと思う。
げんぐ

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