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トップガン マーヴェリックのTPのレビュー・感想・評価

4.5
 実際の戦闘機を使った重低音から始まる冒頭から「デンジャー・ゾーン」が被さる。そして、トム・クルーズ登場!もうこれだけで、かつて「トップガン」に魅了された熟年世代のハートも鷲摑み。
 そして本物の戦闘機を使った戦闘シーンはやはりCGにはたどり着けない重厚さがあるし、生身の人間たちが顔を歪めて訓練+実戦を戦い抜くというストーリーにより、その熱く滾る思いはやっぱりスムーズに心に浸透する。なんて最高な続編なんだ!

 前作から35年を経ての製作が良いほうに作用していると思う。多分本作の内容で前作の数年後に製作されていたら、ほぼ1作目の模倣とされただろう。
 しかしこの35年の間にアクション映画はほぼ現実味のない超人たちが暴れまわる内容に変貌した。
 その結果、映像的にカッコいいとか、すさまじい強さに感嘆することはあっても、現実的にああなりたいという意識は生まれてこないし、なれるわけがない。
 世間はそれを求めているのかもしれないが、少なくとも私はそこに琴線は弾かれない。やはり現実にある内容に基づいてこそ、心に余計に響く。
 そのアクション映画として基本にあるべき大事な部分も感じさせる、近年まれに見るアクション映画の傑作。

 撮影当時トムは56歳。何という56歳だ!また、今回作られた役柄ペニーを演じたジェニファー・コネリー(撮影時48歳)も魅力的で、熟年パワーを見せつけているのも同年代にはうれしいところ。
 なお、前作でトムの恋人役だったケリー・マクギリスは容姿が変貌してしまったことが原因でカメオ出演すらできなかったらしいが、仕方がない。やっぱり肥満しちゃうと年寄り感増大だからね。観客をがっかりさせちゃだめだよ。

 後から振り返れば、あまりに強引なストーリー展開だなぁとは思ってしまうものの、観ている最中はそんなことを考えさせない力任せの映画。
 でもそれがトップガンであり、トム・クルーズなのだ。その強引でも映画の楽しみをこれでもかと叩きつけてくる、上級のアクション系エンタテイメント作品。

 1点、欠点を上げれば“アイスマン”。病気で喋れなくてキーボードで簡単な言葉を打ち込むが、最後にペラペラ喋ってんじゃないの。喋らなかった意味はあるの?それなら普通にもう少しカッコいいシーンにしても良かったのではないか、と思ってしまう。
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