群青

トップガン マーヴェリックの群青のレビュー・感想・評価

4.1
2022年劇場鑑賞8作目。
IMAXレーザーと4Dで。
これに関してはマジで上記2種類での鑑賞が望ましい。


前作はトレンディドラマ的でありMV的でもあるため、良い意味で軽快な味口だった。そんな作風のため、正直なところ個人的にも前作はそんなに高く評価してわけではなかった。


それが今作はどうだろうか。
戦闘機の描写を徹底的にリアルにさせることによる極上の臨場感、若きトップガンたちの教育と亡き親友の息子との確執をアツいドラマに仕立て上げ、時代遅れとされた戦闘機乗りと自らのキャリアを重ね合わせたトム・クルーズの飽くなき向上心、それによる映画と映画館への愛と賛辞。
そしてビーチ笑
全てが高い水準でありながらシンプルで力強いストーリー。さらに今時珍しいくらいザ・アメリカンな作風。
非の打ち所がない、というのはこのことか笑


それは全てトム・クルーズのプロデュース力だろう。
戦闘機は現実に乗ること。
前作キャスト・スタッフであるヴァル・キルマーやジェリー・ブラッカイマーを起用すること。
今度こそ俳優たちに戦闘機の訓練をさせること。
映画館で流すこと。
それらは彼にとって絶対条件だった。
これがあと5年遅かったら無理だったと思う。
年齢的にもアクションの限界になりつつあるトムが、それでも今日じゃない、と思い続けアクションに身を投じるその姿勢はまさにプロフェッショナルとしかいいようがない。

マイルズ・テラーなどの若き俳優たちもトムのそんな志をしっかり理解して食らいついている。個人的にはハングマンとフェニックスが良い。


戦闘機は前作の比較にならないほどリアルでカッコ良くそれでいて戦闘機乗りの辛さがヒリヒリと伝わってくるものだった。
IMAXでは戦闘機の轟音と立体的な動きが画面一杯に味わえる。幸せ。
4Dではまさに戦闘機に乗っているかのような揺れぶり。ついでにGも完全にかかってるような錯覚に陥る。腹に力が入る笑
後ろや横を何かがかすめたら風がプシュッとくる。うおおいっ!とビビる笑 やはり幸せ笑


ストーリーは前述したようにザ・シンプル。
生きては帰れないかもしれないミッションの過酷さをブリーフィングと練習のフィードバックを通して何度も突きつけられる。
言い訳は遺族に言え。ぐうの音も出ない。
そして本番のミッション。彼らと同じように何度も何度も作戦内容を叩き込まれた観客にとっては何が起こるとヤバイのか分かっているのでハラハラしっぱなし。

ついでにお約束のビーチ笑
ハングマンが後ろに投げたボールが地面についたら、当たってもないのに後ろにいる仲間たちが吹っ飛ぶシーンがたまらない。お前らさっきまで険悪だったのに笑


一つ不満があるとするならば、ペニーとの何度目かの再燃という名のロマンスは不必要だったのではないだろうか。まあこれもザ・アメリカンなことを踏まえれば必要な要素なのかもしれない。
娘の粋な計らいというギャグも劇場で笑いがおきてたし。


コロナにも関わらず配信に踏み切らなかったトムには感謝しかない。
コロナという出口の見えないトンネルを突き進む中だからこそこういう作品が何よりの日々を生きる原動力になるし、コロナだからそういう部分が強く見えるのは皮肉めいてるかもしれないが、それを踏まえても時に時代を象徴してしまうのも名作の宿命なのかもしれない。


一年の平均劇場鑑賞数が1本の日本国民は今作こそがその1本になる、というしかない。それくらいの作品。

小難しいことは何一つない。
観に行かない理由はない。

考えるな、動け。
群青

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