公開から2ヶ月間サボっていたが、ようやく鑑賞。
『トップガン』は、私が中学生でトム・クルーズにどハマりし、ハリウッドのゴシップ雑誌を買い漁るきっかけになった映画であり、同時に飛行機の中で観ようとすると絶対に5分で酔ってしまう映画である。
一時期、遠出の車の中でも観ていたくらい、繰り返し再生していたのに、不思議とトム・クルーズの仔犬のような笑顔と、中学生にはセクシーすぎたベッドシーン、そして「ネガティブG」しか覚えていなかった。
どこまでも清々しい青春映画ゆえに、表面的な輝き以外に心に引っかかるものがなかったということだと思う。
まるで『サマージャム'95』の歌詞のように、「夏!クラブ!ナンパ!思い出!!」という要素だけで構成されている。
私の親世代、つまりトム・クルーズと同世代だった公開当時の若者は、中学生の私と同じように、その要素への憧れを抱きながら『トップガン』を観ていたと思うが、果たして今の若い世代がデートとかで観に行って面白いのかが非常に疑問だった。
観終わった今でもそれは変わらず疑問なのだが、公開から2ヶ月経っても複数館で夜中まで上映している、その人気ぶりたるや凄まじい。
Adoが『うっせぇわ』と歌おうとも、オタク文化が若者のメインストリームとなろうとも、やはりキラッキラのアメリカンな青春(性春?)は若い心を掴むのだろうか。
ただ、やはりIMAXの広大な画面に、横の拡がりをことさら誇張した構図の数々は素晴らしく映えており、視覚的幸福は非常に大きかった。
ボッカりと空いた宙に、滑らかな機体が超音速で旋回していく絵は、IMAXここに極まれりといった様相だった。
そして本作が人気を博す何よりの理由は、トム・クルーズが世代を超えて若者のハートをガッチリ捕らえてしまったということに尽きるのだと思う。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のディカプリオとブラピを観た時、彼らのようなキャリアの成熟はトム・クルーズにはないよなあとボンヤリ思っていたが、彼は「あの頃」のフィールドでまだまだ戦えていたのだった。
ディカプリオに『タイタニック』の、そしてブラピに『ジョー・ブラックをよろしく』の再演が出来なくとも、トム・クルーズだけはそれらより前に公開された『トップガン』の続編が出来てしまう。それだけで凄まじい魅力の証明だ。
彼のキュートな屈託のない笑顔に、釣られて笑顔にならない人はいない。