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トップガン マーヴェリックのKtoのレビュー・感想・評価

4.0
【ひとことあらすじ】
破天荒な天才パイロット マーヴェリックが、年をとって指導者になり、亡き友の息子や昔の恋人や相変わらず規則に厳しい組織と色々格闘しながら、相変わらず一番美味しいとこ持ってく爽快な話。

【感想】
1986年版への郷愁溢れる、トムクルーズ世代へのアンセム的映画だった。
オープニングは前作とほぼ完全に一致。1986年版への懐古宣言となっている。

低空飛行の規則破り、ルースターの口髭、F-14の再登場、”ペニー” など前作への愛情(=執着)が凄い。ここまで前作への愛情表現をされると、清々しい。

現代の映像技術をフル活用して圧倒的迫力のスペクタクルを展開しつつ、話は一貫して単純明快。1989版と同様に音楽の力でゴリ押しする演出も目立つけど、劇場で観るならそれがむしろ良い…。名テーマソングだよね…。

指導者に成りきれず現場主義を貫く姿勢、現役で第一線を張れる実力を維持するポテンシャル・ストイックさは、役者としてのトムクルーズにも重なる部分も多く、心打たれる。そして、リアルタイムで1986年版を観てトムクルーズと共に生きてきた世代の観客にとっては、自らのキャリア人生とも重なる部分が多くて感慨深いのだろう…と推察する。

近年、ブレードランナー、バットマン、007シリーズをはじめ様々な作品が「現代的なシリアスタッチでアップデート」されているのに対して、「俺たちは前作のテンションをそのまま最後まで踏襲するぜ!」っていう率直な心意気を感じた。逆に新鮮。

“敵”の描写も「ならず者国家がウラン濃縮プラントを稼働させる」というめっちゃくちゃライトな描き方で、「物語としては全く重要じゃない!気にするな!」っていう意図が伝わってきて清々しかった。

前作のマーヴェリックとアイスマンの関係が、今作のルースターとハングマンの関係に踏襲されているのも熱い。最後のシーンも完全に再現だし。

最後にペニーが登場するシーンも、「車のCMかな?」というくらいベタな画なんだけど、王道にして頂点に君臨し続けるトムクルーズが入ると完璧な映像になる…。カリスマ…。
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