CANACO

トップガン マーヴェリックのCANACOのネタバレレビュー・内容・結末

3.3

このレビューはネタバレを含みます

36年ぶりに製作された『トップガン』の続編。前作の仕掛人・ジェリー・ブラッカイマーに加え、トム・クルーズほか2名が製作に関わっている。字幕を担当したのは前作に続き戸田奈津子。

かつてノースアイランド海軍戦闘機兵器学校(通称トップガン)でともに戦った“アイスマン”こと太平洋艦隊司令官トム・カザンスキー海軍大将の要望により、かつて自身が派遣されていたトップガンで教官を務めることになった“マーベリック”大尉。
三十数年ぶりにトップガンに戻ってきた彼は、ならず者国家によるNATO条約に違反するウラン濃縮プラントの建設・稼働を阻止すべく、精鋭達を訓練する役割を任される。しかし、そのメンバーの中には、マーベリックのかつての相棒“グース”の息子ルースターもいて……という物語。

前作の監督トニー・スコットは、68歳でカリフォルニア州ロサンゼルスの橋から飛び降り自殺(遺書あり)。本作の最後に「In memory of TONY SCOTT」(トニー・スコット監督に追悼の意を捧げます)という一文が映し出される。

世界で一番のトップガンファンかもしれないトム・クルーズは、世界各国で前作の良さや続編に期待することをヒアリングしたそう。「期待に応えたい」「失望させたくない」というトムの想いの通り、前作を上回る娯楽作品に仕上がった。

TDLやUSJのアトラクションと同じように“乗る”感覚で映画館で見ると楽しそう。前作と同じく、F-1感覚で戦闘機を操縦している気分になれる、スリルと爽快感あふれるスカイアクションが見どころ。
前作のファンを喜ばせるビーチバレーシーンやバイクシーンもあり、サービス精神たっぷり。

たびたびルールを逸脱し、天才的な腕を頼りに自己流を通してしまうマーベリックの人間的欠落をしっかり描いていたのが、個人的にはよかった。出世していない、家族を持てていない設定は、歳月による枯れ感と相まって深みが出たように感じた(とはいえ60歳でこのルックスは若すぎるけど)。

無茶苦茶な訓練をしても成功しちゃう、ビーチフットボール一発でチームがまとまる、マーベリックとルースターの長年の確執が急に解消する、恐ろしくあっさり敵陣にある戦闘機が盗める、精鋭たちが相変わらず“その他大勢”扱い等、気になる点はあるけど仕方ない。「ならず者国家」だから先制攻撃してもよいという理屈はアメリカらしい。

VOGUE JAPANによると、「アメリカ海軍は1作目を“史上最高のリクルートツール”と評価していて、続編の撮影にも全面的にバックアップした」とのこと。ワシントン・タイムズ・ジャパンによると、本作が全米で公開された際は、本作の前に(海軍ではなく)空軍の新兵募集動画が上映されたらしい。米国防総省協力作品なので、これも仕方ないけど、やっぱり入隊勧誘映画だと思った。

本作にはフェニックスがいるから、女性志願者も増えそう。

◻︎参考
「トム・クルーズが36年ぶりに帰還! 『トップガン マーヴェリック』が圧倒的な迫力を誇る理由。」(VOGUE JAPAN)
「映画トップガン人気にかける米軍」(ワシントン・タイムズ・ジャパン)
CANACO

CANACO