Eyesworth

トップガン マーヴェリックのEyesworthのレビュー・感想・評価

5.0
【史上稀な完璧すぎる胸熱アクション続編】

監督ジョセフ・コシンスキー、主演は1986年の前作『トップガン』に続いて、伝説のパイロットであるピート・"マーヴェリック"・ミッチェル役としてトム・クルーズ。2022年に大ヒットした航空アクション映画。

〈あらすじ〉
前作『トップガン』から36年の月日が流れ、作中でも時は刻々と経過し、すっかり海軍の中でも古参となったマーヴェリックは、米海軍の過去40年間において空中戦で3機の敵機撃墜記録を持つ唯一無二のパイロットだが、その無軌道で常識に縛られない性格から、現場を離れず固く昇進を拒んでおり、未だに大佐のままだった。そんな彼は、現在は海軍提督であるかつての盟友トム・“アイスマン”・カザンスキー(ヴァル・キルマー)からある困難な任務のため、教官を命じられる。
果たしてマーヴェリックは、「確実に死人が出る」と言われるほど超危険なミッションへ出撃する若者たち12人を束ね、任務成功へと導くことはできるのか…

〈所感〉
前作へのリスペクトに溢れた冒頭のケニー・ロギンス『デンジャーゾーン』の音楽に合わせて、KawasakiのNinjaに乗って疾走するピートのシーンが物語のスタートダッシュを成功させ、胸熱すぎた。酒場では、女性オーナーのペニーを口説くロートル扱いで、ハングマンら若者から外に追い出される姿は時代の移り変わりを感じるが、それもまたチャーミングだった。老年になってもやはりトム・クルーズはあの精悍なトム・クルーズのままだ。ビーチでのフットボールのシーンはかつてのピートの同僚達とのビーチバレーを想起させ、それが彼らを結束させる要因になったのも感慨深い。何より、若者に交じっても一切違和感のない筋骨隆々ぶり。選ばれし精鋭12人の中には、かつて長きに渡ってタッグを組んでいたグースの息子であるルースター(マイルズ・テラー)がいて、彼との関係性の変化がこの映画のもう一つのメインストーリーであるが、その進展もお見事だった。ルースターは父譲りの優等生で、頭は良いが実践では力を発揮できず、それに対してピートは「空では考えるな。行動しろ!」と発破をかける。しかし、ルースターはピートのことを父を誤った判断で亡き者にした犯人だと恨んでいるため聞く耳を持たない。それでも、最後はピートからの信用と期待に応えて、父・グースのように無鉄砲なピートを援護する最高のパートナーとして機能した。世代を超えた固い絆で結ばれた新生タッグの誕生に胸が踊る。空の戦いでは、一瞬一瞬の判断が命の有無に関わるため、一コマ一コマの価値が日常の比にならないものだ。そんな命懸けのパイロットの操縦に見ている我々も命を預けるように前のめりになって画面を見つめる。
そんな非日常への没入感がこの作品を確固たる作品にしているように思った。
マーヴェリックは永遠に空が似合う男だ。
Eyesworth

Eyesworth