波野なみ松

トップガン マーヴェリックの波野なみ松のレビュー・感想・評価

2.5
文句の付け所がない娯楽映画。
前作の空中戦は「勝ったっていってるし、すごいって言ってるんだからそうなんだろう」と思うしかなかったけど、今作のドッグファイトは映像表現としてわかりやすく描かれていて、まさに手に汗握る攻防だった。
前作の女性教官だった女優が出演していない理由に「彼女が歳をとって太ってしまったから」という話が出ていたが、もし彼女が以前同様美しかったとしても、今作に登場するのはストーリー上不自然だったと思う。ジェニファー・コネリーとくっついたり離れたり、っていう距離感は中年男女として自然で洗練されているかんじがした。
どうしたって前作と比べてしまうんだけど、総合的に「映画の進化」を目の当たりにした気がする。
逆に、前作と共通してると思ったのは、彼らが一体どこと戦っているのかぼかして描いている点。おそらくロシア(前作はソ連)なんだけど、社会的背景も何もなく、人間ではない「敵」という概念と戦っているかんじ。戦争ともいえない。理念も正義もない。敵の飛行機にも家族を持つ人間が乗っているはずなんだけど、そんなことは考えもしない。まるでおとぎ話。ウクライナ戦争やイスラエル・ガザ地区での大量虐殺がリアルに起きている今の時代、同時代に存在するとは思えないお気楽さ。
何も考えずに「あーおもしろかった!」であとに何も残らない。だから完全無欠のエンターテイメント。
波野なみ松

波野なみ松