ヒナウラ

トップガン マーヴェリックのヒナウラのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

もしかして『トップガン』ではないかと思わせるほどに、瓜二つのオープニング・クレジット。やがてタイトルに『マーヴェリック』という文字が加わり、明らかに別の映画だと示されたにもかからわず、映し出されたのは、航空母艦や戦闘機、離陸準備をするパイロットやスタッフ、極めつけは「デンジャー・ゾーン」の曲とともに離着陸していく様であり、たしかに捉えられた時間帯にちがいはあるものの、この映画はますます『トップガン』足ろうとし続ける。

その後、『マーヴェリック』のストーリーが展開されていく。しかし、(ここからはあえて)マーベリックの懐かしさとともに、たとえば、アイスマンや、グースそっくりの息子(ピアノ弾き語り!)といった登場人物、マーベリックの目つきを注目させるやりとり、父グースの言葉に幾度か奮起される息子ルースターや友マーベリック、奇跡1と奇跡2にまつわる作戦計画のシュミレーションと実行、地位を追われたマーベリックの起死回生をかけた挑戦と本番、ビーチでのスポーツ、Kawasakiのバイク、曲がり角にあるヒロインの家、決定的な援護射撃、管制塔をかすめ飛ぶかつての戦闘機、エンドクレジット前の人物画像と名前の紹介等々、この映画は、『トップガン』を想起させるばかりか、『マーヴェリック』の物語内で起こるさまざまな繰り返しの描写が、両作品のそれまでの出来事を思い起こさせる。
だが以前にも観たことのあるようなこれらの場面の数々に対して、「またか」と面白味や刺激が失われるのではない。むしろ進展されるのだ。
繰り返されるからこそ、物語をわかりやすくさせている上に、ハリウッド映画ならではの反復による省略やリズムをつくる説話としても機能し、さらには乗り物のスピード感も加わって、映画そのものがアクションしているように映り、感動と興奮を覚えた。

ただ、マーベリックがペニーのバーから追い出されたあと、ピアノを弾くルースターを見ているときに、グースとの過ごした日々を回想する場面があるが、あのフラッシュバックは過剰だったように思う。たしかに前作を観ていないものへの配慮かもしれないが、冒頭、彼のプライベート倉庫の手洗い場前に貼られていた写真を舐めるように捉えていたのだから、あそこまで説明しなくてもよかったのではないか。

それにしても、撮影当時、還暦近いはずのトム・クルーズが、いまだに本物を追い求め、本気で身体を動かす姿は、レジェンドといわれるスポーツ選手に対する敬意に同じく、ひたすら感服してしまった。
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