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金子文子と朴烈/朴烈(パクヨル) 植民地からのアナキストのsabumasaのレビュー・感想・評価

3.9
ふたりが関わる事件の背景にある関東大震災で起こった朝鮮人虐殺がどのように起こったのか克明に描かれていて、放心状態になっている。

今でも地震の度にTwitterに溢れる「井戸に毒~」は、当時権力側が意図して流布したことから始まっていて、その目的に唖然とするしかない。
そこから100年経った今、地震の度に嬉々として全く同じヘイトデマ投稿を振りまく人々の存在は、その目的は今でも見事に機能していることの証明でもあり。。

一方で、この虐殺を扱った映画は前も観たことがあるが、当時ショックは受けたものの受け止め方が今とは全く違っていて、そのことにも衝撃を受けている。

映画は、あくまでもふたりの事件がメインだが、文字通り国家に歯向かおうとしたふたりの人間的魅力を多分意識的に前向きに描いていて、ふたりと周りの人々の演技もすごくよく、暗い物語ながら“魅せる”力のある素晴らしい映画だった。
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