LalaーMukuーMerry

金子文子と朴烈/朴烈(パクヨル) 植民地からのアナキストのLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

4.7
関東大震災(1923)の騒動の中で朝鮮人虐殺が行われたことは知っていたが、それに関連してこんな人物(韓国人と日本人)がいて、異例ずくめの二人の裁判が日本で行われたという史実は全く知らなかったから、ちょっとしたショック! 日本人に是非とも見てほしい日本の歴史教科書にはまず載らない内容の作品。
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アナーキストとして権力(大日本帝国)に徹底抵抗する熱い姿とその強さにうたれる。日本の植民地支配と朝鮮人差別の意識がいかに酷いものだったということの裏返し。
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内容がショックだったので、すぐにネットで二人について調べた。二人は大逆罪(天皇・皇后・皇太子に危害を加える犯罪)で死刑宣告されたが、恩赦により無期懲役に減刑。金子文子は映画に描かれていた通り原因不明の死をとげたのだが、朴烈(パク・ヨル)の方は映画の最後で流れたテロップ以外に波乱の(悲惨な)晩年があったようだ。南北分裂した朝鮮半島の厳しさを改めて感じた(大日本帝国も酷かったが北朝鮮はもっと酷い)。
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~最近聞いた、ちょっと関係するかもしれない話~
法は守らなければならないというコンプライアンス意識が幅を利かせるようになる一方で、同時進行しているのは、おかしな内容で新たに成立する法律、条令、政令の数々。法は社会に合わせて後追いでできるもので、決して完全なものではない。なのに・・・
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その法を守って生きることに汲々としている人間は、法を作った側に隷属しているだけという意識を持っておくべきだ。法の内側だけに生きる者には、法の外側で生きる者(法外な者)の真実が理解できなくなる。
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人間社会ではこれまでどこの国でも、絆のために法を破るのは正義だった。
「君たちが言う友だちというのはただの知り合いだろ? 本当の友だちなら法を破ろうが何があっても友だちを守る」