masat

サンキュー・スモーキングのmasatのレビュー・感想・評価

サンキュー・スモーキング(2006年製作の映画)
3.5
大量殺人兵器を売る、いや、宣伝する為に雇われた男。彼こそ、本当の殺戮者、なのか?
しかし、そんな彼でも、驚くべき才能と誇れる知性を持ち、愛すべき息子がいた・・・

ロバート・デュヴァルを筆頭に、サム・エリオット、ロブ・ロウ(、ケイティ・ホームズ)と、ゾロゾロ名優たちが集う本作は新人監督のデビュー作。
なぜ、こんなにも?脚本が良いからだろう。そして、いまのアメリカの一面をはっきり炙り出しているからだろう。

ロビー活動家の口八丁手八丁な男を見つめる、息子の眼差しがイイ。どんな事があっても、親は親なのだ。そして、主人公のパーソナリティがより拓かれた時、たった二人しかいなかった友達(カフェでの定例食事会が愛らしい)が、最後には増え始めると言う、そんな予兆もイイ。

この新人監督は、80年代の豊潤な時代の徒花たる父の姿を見つめ、70年代から始まる“世界”を見つめ、いま21世紀に、自らの視点と仲間を獲得しつつある。
そんな鼓動が響いてくる兆しが、最も興奮する“映画”の瞬間だ。この才能が、21世紀の映画界を拓いて行くのだ。
masat

masat