半兵衛

サンキュー・スモーキングの半兵衛のレビュー・感想・評価

サンキュー・スモーキング(2006年製作の映画)
3.7
喫煙シーンを一切披露することなく、タバコ産業で働く主人公たちの奮闘ぶりを描くというシニカルな語り口が堪らない作品。自分が現代の社会から迫害されていることを意識しつつ、ローンのために必死に働く主人公は生活のため宮仕えをしている大人たちには大いに共感できるはず。

終盤別れた妻の所にいる息子との情愛を強調しすぎたきらいはあるが、それでもタバコのパッケージを意識したオープニングや、エスプリの効いた作風、超辛口なラストなど見ごたえ充分な一作に仕上がっている。

それにしても日本でのタバコ事情を考えると、こうした作品でも公共の電波では一切取り上げることが出来ない可能性が大でこれは結構怖いのではと思えてくる。筒井康隆の『最後の喫煙者』という小説を読むとその思いが更に増してくるはず。
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