素潜り旬

寝ても覚めてもの素潜り旬のレビュー・感想・評価

寝ても覚めても(2018年製作の映画)
-
東出昌大はスキャンダラスなうえ、デビュー当時の大根芝居イジりが根を張り、まじで過小評価され過ぎている。そのうえ、過剰なバズり方をする芝居をすることもある稀有な役者だったりもする。ただ、この『寝ても覚めても』はある程度フラットに観られると思う。東出昌大が二役であることによって、東出昌大同士で比べながら、あれはよかったこれはよかったとできるからで、しかも単にあの演じ分け凄いよねとも言える。だけれど、あれは切り分けた東出昌大を東出昌大が提供しているだけに過ぎなくて、それは濱口竜介の演出方法のおかげでもあるのだけれど、ちゃんと皿のうえに乗っかっている。いままではそれが剥き出しであるがゆえに、見てられない状況にもなったりしていたのだった(主にドラマなどで)。だから「東出昌大は皿のうえに乗せれば良い。」それはある種、名監督のなかでは合言葉のようになっており、東出昌大が良い芝居をするときはたいてい皿のうえに乗っている。言い換えるとショットによる芝居の補完なのだけれど、監督や撮影がうまいひとじゃないとそれはできない。うまさというよりは作家性だから、ドラマは厳しいというわけで、だから東出昌大が映画に合うというのはそういうことだと思う。ひっぱりだこだし。そして東出昌大が舞台に最近呼ばれ出しているのは、(皿がないことによる)皿を感じさせない力が抜きん出ているから。逆に。
素潜り旬

素潜り旬