まな

寝ても覚めてものまなのネタバレレビュー・内容・結末

寝ても覚めても(2018年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

全体の話。
褪せたような色調が良い。特に主演の唐田えりかさんは、あまり血色感のない色白だからか、肌色が時々グレーがかって見えた。ビスクドールみたいで綺麗。
朝子の何を考えているのか読めない言動が、ますます彼女を人形っぽく見せた。紹介文で「2人の男性の間で揺れるヒロイン」と表現されていたりしたけれど、私は、2人の間をてくてく歩いて行き来するお人形を遠くから眺めている気分になった。
それが良かったと思う。もし、モノローグを使ったりして朝子の心情を詳しく説明してしまったら、きっとその先には何もなくて、共感するしないの話に尽きてしまっていたんだろうな。

そういえば、私は朝子にまったく共感しなかったけれど、そんなこと関係ないぐらいに彼女の言動には説得力があった。意味分からないけど、この人ならこういうことするって分かってた、という感じ。どうしてかな。

演出の話。
撮影前の読み合わせでは、「イタリア式本読み」(電話帳を読み上げるかのように、抑揚やニュアンスを抑えて台詞を読むらしい)を採用したのだと聞いた。それがどんな風に作中に現れるのか気になっていたけれど、よくあるリアリティの求め方、普段私たちが話している「ふう」に演出する方法とは全然違うなと感じた。
抑揚が抑えめで、一音一音をはっきりと発音するから、棒読みのようにも聞こえる。でも、事前に用意したものではない、その場で生まれた感情だけが台詞にのっているのだから、むしろこの棒読みこそが日常会話に近いのかなあ、とも。リアル「ふう」よりもね。
特に主演の2人が顕著だった気がする。

音楽の話。
tofubeatsの音楽が良かった。そもそもこれを観たいと思った最初のきっかけは、予告篇で「River」を聞いたことだった。電子加工の無機質さとピアノ、ちょっと気怠くて切ないメロディーがこの映画とよく合ってるな〜。
「一度生まれた愛は 二度と消えることなく」

シーンの話。
逃げる亮平とそれを追う朝子、その後を追いかけるみたいに日が差していくシーンが面白かった。どうやって撮ったんだろう。

自分が演劇をやっているからか、くっしーがマヤの演技を見て言った言葉はよく分かった。見に来たお友達に「すごいね〜」とか「私には出来ないよ〜」と言われて喜んでる役者って……という気持ち。瀬戸康史さんの演技、すごく好きだった。


駅までの帰り道、川沿いを歩いた。

おしまい。
まな

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