おちち

寝ても覚めてものおちちのネタバレレビュー・内容・結末

寝ても覚めても(2018年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

この映画は「理解を超えたもの」に翻弄される人間の姿を描いた作品だと解釈した。朝子の一貫性のない振る舞いは亮平だけでなく、朝子自身も(自分ではどうにもならない感情に突き動かされている点で)翻弄されている。映画の中で、通奏低音のように描かれる「震災」は、人間の理解を超えたものの最たるものだ。ALSに冒される岡崎もマヤの早産もそう。最後のシーン、濁流と化した川の前で呆然とする二人は、自分達の手でどうすることもできない川=「理解を超えたもの」に圧倒される様子を描いている。そして、その川を綺麗と表現する朝子ただ一人が、不条理に塗れたこの世を受け入れているのではないか。
重要だなと思うのは、愛は理性を超えたどうにもならないものなのだということ。朝子を単に悪者ではない。嫌いだけど。

演技の点では、主演の二人はヘタクソだろう。しかし、この映画においては、この噛み合わない演技がハマっていた。脇役が上手いから、余計にハマっていた。

劇伴のtofubeatsは合っていないなというのが率直な感想。

*朝子の夢については考える余地あり
→東北からの帰りの車中、目覚めたら夜。飛んで、バクとの逃避行中、目覚めたら朝。この間にバクと再会してると考えると、バクとの再会自体が嘘のようにも見える。
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