ぽん太

さよならの朝に約束の花をかざろうのぽん太のネタバレレビュー・内容・結末

3.4

このレビューはネタバレを含みます

空を飛ぶモノ、長い時を生きるモノ、様々な種族のいる世で、次第にそのモノ達は姿を消していた。
隠れる様に静かに生きていたイオルフ。
縦糸に時を横糸に日常を長い長い物語の様に布に織り込み過ごしてる。
両親のいない内気なマキアは、活発なレイリア、おおらかに見守るクリム達と楽しく過ごしながらもどこか寂しさを感じていた。
ある夜、密かに思いを寄せていたクリムがレイリアと花畑で逢っているのを見てしまう。同じ時イオルフの長寿の血を求め、メザーテの軍が空を飛ぶ獣レナトに乗り攻め入る。一族で最も美しかったレイリアはメザーテの王子の子を産むモノとして攫われ、クリムは姿を消し、マキアは赤目病を発症し暴走したレナトに巻き込まれ村の外へ出る。
戻る場所を失い彷徨う森の中で、マキアは赤ん坊の鳴き声に気付く。

長い時を生きるモノは人との時間の流れが違い、必ず別れ残されてしまう。
一族の中で若いマキアはその事をまだ理解できていなかった。
森で見つけた赤ん坊にエリアルと名付け、育て共に生きる。人を育て人と共に過ごす中でわからない事、思い通りにならない事にすぐ涙を流すマキアに、身を寄せた先の息子ラングが「かーさんは泣かない」と話す。

婚姻のお披露目の時に既に子を孕み、救出に来たマキアやクリムと共に行かなかったレイリア。
苦しい想いをしている間、穏やかに暮らしていたマキアに対し嫌悪感を露わにするクリム。
二度目のレイリア奪還では、レイリアに長い時を生きる中で子を産んだ今を忘れろと、そして自分と共に生きようと言うクリム。
クリムが死んだと思っていたレイリアにとって、会わせてもらえない我が子に会う事だけが生きる糧だった。

「ただいま」
「おかえり」

マキア、エリアル、ラング、レイリア、クリム、イゾル、それぞれに思いを馳せる
ぽん太

ぽん太