MtSNOW

さよならの朝に約束の花をかざろうのMtSNOWのレビュー・感想・評価

4.3
どこにでもある、ありふれた親子の話。
エリアルは特殊な育ちをしてるけど、観ればわかる通りまっすぐに育った。
マキアが、ちゃんとした母親として育てることができたから。
母を愛し、反抗期を迎えて、独り立ちする。
そんな、どこにでもあるような育ちを、マキアはイオルフという枷を言い訳にもせず、母親としてやり遂げた。

そんな「どこにでもある」と言えるような話なのだけれど、でもこの作品は傑作と呼びたい。
マキアとエリアルの心情が伝わってくるのは、描写が丁寧だから。
それに加えて、エリアルの育ちがあまりにまっすぐなもんだから、自分と重ねてしまうところもある。
そういう、言ってしまえば平凡がゆえに、誰もが経験したことを追体験してるような感覚になる。
あるいは、こうまっすぐなりたいという気持ちに。

時折描かれる対比構造も好き。
母親になろうとしたマキアと、母親にされたレイリア。
戦場で男として戦うエリアルと、女としての戦いをするディタ。
イオルフとして戦おうとしたクリムと、イオルフとしては生きられないマキア。
他にもあるかもしれない。

酒場で働くマキアが可愛い。
MtSNOW

MtSNOW