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フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法のmotoyAliveのレビュー・感想・評価

3.4
夢の国の外に広がるのは厳しい現実。
サブプライムローン問題に端を発する貧困を描いたヒューマンドラマ。

《あらすじ》
シングルマザーのヘイリーと6歳になる娘ムーニーはディズニーワールドのそばにある“マジック・キャッスル”という安モーテルで暮らしている。ムーニーは様々な境遇でモーテルに住む子どもたちと日々楽しく過ごすも、ヘイリーは職にも就かず盗品を売りさばきながらその日暮しを続けている。しかし、それも立ち行かなくなった時、ある出来事を境に日常が変わっていく。

《感想》
シングルマザーとその子どもの日常を描くドキュメンタリー風の作品。カメラワークが常に子ども目線で、子どもの目の届かないところは映されていない。ヘイリーもムーニーに対して怒りをぶつけたりすることもなく愛情を持って接しているので日々の楽しい日常ばかりが見えてくる。しかし、物語が進むにつれてヘイリーがどのように生計を立てているのかなぜ2人の周りから人が離れていったのかという現実が分かった時、胸が苦しくなる。

ジャケットのような夢のあるお話かと思って見ると騙されてしまい、夢とは真逆のアメリカが抱える貧困問題という現実に突き当たる。終始カラフルな情景が映されているので、コントラストが効いてその彩りと明るさが余計痛々しく見える。

リアルを追求している分、淡々としていて物語の抑揚があまりないので、退屈に感じることはあるが、普段光の当たらない社会の負の側面を知れる良い機会ではあった。
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