キャンチョメ

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法のキャンチョメのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

子どもたちが暮らす部屋は終始薄暗く、物も散らかっているし、狭い。紛れもなく貧しい現実の世界だが、一歩外へ出ると、パステルカラーの建物がそこかしこに存在し、アイスクリームや、友人たちとの冒険が待っている。まさに夢と魔法の国。しかし空き家の放火からアシュリーとスクーティとの関係が拗れ始め、現実の影が魔法の国に忍び寄る。

ホテルのバイキングで好きなものをほおばるムーニーがキュート過ぎる。その姿を見つめるヘイリーの空っぽの表情から、この後訪れる母娘の別れを予感する。

物語の序盤から、現実的な大人の世界の厳しさ自体は見えている。家賃が払えない居住者や、職を得られないムーニーの母等。その現実という影が魔法の国を侵略し始めて、遂には魔法の国だと思っていた世界が、辛く残酷な現実だとムーニーは知る。それでも憧れの(ディズニーワールドのような)魔法の国が存在することには変わりない。なぜなら友人という夢と魔法の国への案内人がいるからだ。辛い現実も魔法の国に変えられるということを教えてくれるラストだった。

ボビーの厳しく優しい態度が非常に良かった。子どもたちを誘拐犯?から守ったシーンで一気に彼のことが好きになった。
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