ハル

奇跡の絆のハルのレビュー・感想・評価

奇跡の絆(2017年製作の映画)
3.7
人種差別をダイレクトに描きつつ、根底は同じ人間であることを謳う美しい物語。
実話ベース。

妻からの願いで浮気の罪滅ぼしとしてボランティアに勤しむロン。
施設には“自殺者”や“殺し屋”など、怪しげな異名を持つホームレスが多数存在。
しかし、誰しもが妻の献身性に惹かれ、ロンと彼らにも“絆”が生まれる。
相手の生い立ちや育ってきた環境を知ることで、本質に目が向くのは国や文化が違っても同じ。
『目を見て話すこと』は普遍的なコミュニケーションのあり方だなと思えた。

他人のためにできることを行う。
当たり前のようでいて大人になるとなかなかできないよね。
社会では、経歴や収入など世界を隔てるヒエラルキーが自ずと形成されてしまうし、それを崩すのはとても困難だから。
そうした壁を一つ一つ乗り越え、互いに手を取り合っていく過程には胸が熱くなる。

ただ、できすぎかな…
ところどころ理由のない辻褄合わせに違和感を覚えてしまうし、フェイクな香り。
“何が”というと難しいんだけど…
白人のお金持ちがここまで犠牲を払う行動原理が謎だし、動機的にも「無理があるのでは?」と感じる描写が多いんだ。
実話ベースだからこその「本当なの?手を加えすぎてない??」と、不自然さが気になってしまった。

少し前の時代、今よりは遥かに黒人差別が根深かったことも描かれているし、重みもある。
だからこそ実話ベースという記し方がスッキリしない読後感を残す。
エンドロールでは実際の彼らの映像も出てくるから、決して眉唾ではないんだけど…
ハル

ハル