こたつむり

劇場版 アイドルキャノンボール2017のこたつむりのレビュー・感想・評価

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♪ また いつかいつか そう言えば叶うか?
  ほとほと疲れ たまる何かよ 
  大きくない ほぼ いらない

問題作再び。
BiSHを追跡したドキュメンタリー『ALL YOU NEED is PUNK and LOVE』のプロローグ的存在…ということで鑑賞しましたが、基本的には『テレクラキャノンボール』と同じノリでした。

しかも、人生を懸けて頑張るアイドル(+予備軍)の裏で蠢く《おじさん》…というのが基本的な構図ですからね。ゲスさ全開。フェミニスト(+女性)厳禁の領域なのです。

いやぁ。時代に逆行した作品ですねえ。
ただ、言い訳じゃないのですが、男ってバカな生き物ですからね。「面白い!」と思ったら突っ走っちゃうのです。…とは言え、真剣に臨んでいる女の子たちを利用しているのも事実。うーん。アンビバレント。

しかし、そんなバカ騒ぎで終わらないのが本作。なんと「表現者に必要なものは覚悟だ」と、真理を見事な形で浮き彫りにしているのです(欲を言えば《おじさん》たちの覚悟ではなくアイドルたちの覚悟が観たかったですけど…笑)。

勿論、その覚悟は人によって違います。
臓腑を曝け出すように腹を裂くのか。
時間を惜しまずに反復練習に励むのか。
それとも、良心の呵責を封じ込めて“観たいと思うものを提供するのか”。

どの選択にも絶対的な正解はありません。
ゆえに誰にも否定できず、肯定もできず。
誰とも交わらない道を己の衝動に従って突き進む…それが表現者なのです。

そして、僭越ながら僕に言えることは。
真剣な気持ちは誰かに届く、ということ。
エリザベス宮地監督がアイナ・ジ・エンドさんに揺さぶられたように。最も大切なのは“魂の形”なのでしょう。だから、本作の続編が存在しない…それが“救い”なのだと思いました。

まあ、そんなわけで。
汚いものも綺麗なものも寄せ集めの闇鍋。
確実に人を選ぶ作品なので気軽な姿勢で臨むと…嫌な気分になると思います。ある程度の余裕が必要ですね。アイドル目当ての鑑賞は積極果敢にオススメしません。
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