ふぇいるくん

エクスプロラーズのふぇいるくんのレビュー・感想・評価

エクスプロラーズ(1985年製作の映画)
3.6
ジュブナイルものというジャンルで言えば、スピルバーグやR・ドナーなどの手練れが撮ればもっと素直に楽しめる(あるいは無難な)映画に仕上がったはずが、J・ダンテが手掛けると何とも居心地の悪い映画に。

物語の展開はダウナー調、肝心の宇宙への飛翔シーンなどスピルバーグであればJ・ウィリアムスの劇伴の力を借りて大いに盛り上げるところなのでしょうが、「あ、気が付いたら何となく宇宙」程度。
そして終盤の山場、異星人とのコンタクトに至っては座り心地が悪いことこの上なし。
『未知との遭遇』や『ET』に唾吐きかけるようなこのクライマックスこそ、しかしダンテ監督の真骨頂。
「宇宙人との真の友情はこれだ!」とばかりに見せつける脱力の渦は、しかし現在見ると意外にリアリティがあり、少なくとも宇宙人=「善意の愛玩動物」か「凶悪な攻撃者」というステロタイプなハリウッドエイリアンの対極にあります。

とはいえ、ではそれが「すごく面白いか」と言われると疑問符が。
「ありがちな感動」などそっちのけで、言語化しづらい躁状態の気味悪さばかりが立ち昇り、観る人に「宇宙なんか行くもんじゃない」という厭世観を焼き付けるあたり、まさにJ・ダンテの作家性がいかんなく発揮された怪作となっております。