佐藤克巳

朗かに歩めの佐藤克巳のレビュー・感想・評価

朗かに歩め(1930年製作の映画)
4.5
「民衆の敵」等のアメリカ犯罪映画を模したモダニズム性の強い小津調とは異質な雰囲気のある秀作。港街の暗黒世界の顔役高田稔が、車で跳ねそうになった少女松園延子の姉川崎弘子に一目惚れして交際が始まる。「夜霧のブルース」がふと閃いたとおり、愛人伊達里子の策謀に乗った社長坂本武が川崎を襲う窮地を高田が救うのだが、川崎は高田に回心を迫る。高田は足を洗う決意を固めるが、ここからの主役は弟分吉谷久雄だろう。高田の仕事の世話を焼き、高田が捕まると自首をして男を上げた。また、車からの描写にスピード感とスリル、キューピー人形、ビリヤード場の犬を抱いた男斎藤達雄等怪しいムードが割といい。
佐藤克巳

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