なみき

ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリスのなみきのレビュー・感想・評価

5.0
面白かった! まずちらりと見せてもらえる講演がどれもフルで聴きたいくらい面白そうなんですよね。それに加えて、繰り返し図書館の使命みたいな話とそれを実現するための予算獲得に向けた会議の様子が映されていて、そこでの基本的な発想が「情報へのアクセス手段を可能な限り多く提供し、情報格差をなくす」というものだったのが衝撃を受けました。情報の保管とかではなく、むしろ情報をできるだけ多くのひとに開こうとしている。そのためにインターネットをいろんなひとに利用できるようにしたり、資料をデジタル化しオンラインで利用できるようにしたりしている。理想的にはニューヨークどころか世界中のひとが、すべての資料をオンラインで見れるようにしたいそうです。そうしたことが民主主義の礎になるのだという意識も強く感じられる。

そして、その志ゆえに、マイノリティへの目線が非常に丁寧なのも驚きました。アフリカ系アメリカ人たちが歴史を知り、伝えるためのプラットフォームになろうとしていたり、英語があまりできない中国系の人々に向けてパソコン講習会をしたり、見えないひとに向けて展示を読むための講習会をしたり。

資料のデジタル化やらをするために著作権関連の交渉も積極的におこなっているみたい。「おとなしく本を仕入れてきちんと保管する場所」みたいな従来のイメージを完全に覆され、もっともアクチュアルなデモクラシーの実践の場だと感じるようになりました。
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