TOMJFK

戦争と平和のTOMJFKのネタバレレビュー・内容・結末

戦争と平和(1965年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

本物は違う!200年前のロシアを再現!

ハリウッド版「戦争と平和」が納得いかず
本場ものの本作を観ようとヤフオフでDVDを購入しました

ところが・・・
間違って2007年製作のTVドラマ版を購入してしまいました

このTV版は
イタリア・フランス・ドイツ・ロシア・ポーランドの合作ということで、6時間を超える大作で
出演者も素晴らしく、そしてなんといってもストーリーが素晴らしい

トルストイ「戦争と平和」とは、
このTV版に描かれているようなドラマではないかと考えています

すみません、原作は読んでいません

でも結果的に2007年TV版を先に観ていて正解でした

なぜなら、ソ連版(本作)を観ただけでは、人物ドラマの詳細が、よくわからないからです
2007年TV版を観て、人物ドラマをしっかり理解して、それからソ連版を観ることをお勧めします

そうすることで、ソ連版の流れが理解できやすいのです

さて、ソ連版の本作をアマゾンでDVDを購入して初めて観ました

空前絶後のとてつもない規模で展開する、史上最大の映画でしょう
製作から約50年も経ってから、
この大作と巡り合うことが出来て、自分は幸せ者です

本作の感想ですが、
全体的に、監督の演出が独特ですね

ときにはオーバーラップを、ときには画面分割を、ときには画面をボカシたり、ときには上空から流れるように撮影したり、
様々な演出方法を試していますね
「芸術作品」といった感じです

それらの凝った演出が、どこまで効果的であったかは、
その場面、その場面によって違いました
また、登場人物が心に思うセリフが多用されています

これらは、監督が原作トルストイを尊敬していて、
小説に忠実に映画化している結果のようですね

いずれにしても、
ダンス舞踏会や戦争シーン、またモスクワ炎上シーンなど
圧倒される壮大な場面は、他の映画では考えられない!

当時のパンフによると・・・
シナリオ着手の1955年が、米伊合作パラマウント映画版と同時期であるが、
これは偶然で、競作の意図では無い

ソ連政府が、
トルストイ死後50年祭(1960)、
ボロジノ戦150年祭(1962)、
ロシア革命50年祭(1967)の記念事業として、
文部省と国家映画委員会が音頭を取って製作した

製作費130億円(「ベン・ハー」の2.4倍)、
撮影12年、
登場人員59万人・・・とのこと

戦争シーンも、「戦争とは死体の山を作ること」といったメッセージでしょうか
画面を覆う膨大な死体の数々

米国ハリウッド映画では好戦的な映画は作っても、このような描写はまず無い

軍需産業に支えられ、好戦映画を作り続ける戦勝国のハリウッドと
戦争の悲惨さを、国家映画の中でも表現した社会主義国ソ連と
国の違いも垣間見た思いでした

そして、強調されていたのが、ロシアの母なる大地、自然の雄大さや移り変わり本場ロシア人の手で、ロシアの生命と自然を歌い上げている

そしてそして、やはりナターシャは素晴らしすぎる!
完璧でした
何が完璧か?
演技とかではなく、その美しさ・可愛らしさ
ただ「完璧だ」と思いました

これもパンフによると、
撮影開始後1年たっても、ナターシャ役が決まらず、
ソ連文部省が、あらゆる芸術分野の少女をしらみつぶしに探し回り、
数百人の候補者から選び出したリュドミラ。
彼女はバレエ学校を卒業したばかりで、スクリーン・テストを受けて、
そのフィルムが映し出されると、誰もが「彼女こそナターシャだ!」と思わず叫んだという。

彼女の17歳から22歳までの生の6年間が、このフィルムに焼き付けられています

それから、社会主義国だからなのか、何かとナレーションがメッセージ性を帯びているところは鼻に付きました

とにもかくにも本作は本場ソ連国が、19世紀初頭を詳細に再現するため、文部省を中心としたメンバーによる考証が行なわれ、大道具・小道具、社交界のマナー、衣装など、どんな厳しい学者の目にも耐え得るもの

また当時の鉄砲・刀剣・軍旗・軍服・アクセサリー・絵画・彫刻・聖像・図書など、国内外の40の美術館から保険を掛けて借用して撮影した
国宝・重要文化財クラスも多いとのこと

圧倒的な舞踏会や戦争シーンやモスクワ炎上シーンも凄い
この炎上シーンを撮影するため製作したオープンセット
当時の教会・官庁街・商店街・住宅がずらり並んだ街の再現で、
なんと一気に放火して炎上させて撮影している!

また、史実では約20万人が参加して半数近くが死傷したという
激戦「ボロジノ」戦闘シーンは、ソ連陸軍が2個師団を提供し、実際にボロジノ戦場跡地で撮影された!

とにかく全編、映像的には最高に楽しめました

まるで200年前のロシアとナポレオンの時代を、実際に目撃しているかのような映画でした

やはり本物は違う
素晴らしい!!

ただ2点
ピエール役は、やはり違う人のほうが良かった・・・

それから音楽・・・けっこう違和感ありました

それでも高評価です!
今回購入したDVDも私の宝物となりました!
TOMJFK

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