Osamu

三里塚のイカロスのOsamuのレビュー・感想・評価

三里塚のイカロス(2017年製作の映画)
4.2
きっつい映画だった。残酷。

成田空港建設に反発する農民たちと共に闘うために集まった若者たちが50年後の今、あの頃を振り返ったドキュメンタリー。

熱狂の中で踊った自分を、熱狂が終わった後に冷静に振り返るのってきついと思う。50年経って、踊った代償をハッキリ見渡せる状況になっているから尚更きつい。

ただ、あの闘いの是非を問う映画ではないと思う。熱狂に参加した人間の姿(こころ)を映す映画だ。

この映画を強烈に印象付けるのは、飛行機の轟音だ。轟音にインタビューは度々中断する。轟音は、彼らの熱狂が止めようとしたものが、熱狂とは正反対の規則正しいルーティンの定位置を得たことを示す。

彼らは、それについて何も語らない。ただ、通り過ぎるのを待つ彼らの表情が何かを語っていた。それをスクリーンに映し続ける。残酷だ。容赦無い。
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