友二朗

イカロスの友二朗のレビュー・感想・評価

イカロス(2017年製作の映画)
4.0
「私の自由は奴隷だったのだ」

世紀の証明から一変、
国家を揺るがす命懸けの告発へ。
1968からという壮大すぎる重大さ。

これやばいのでは。
この作品を撮れたとしても世に出す勇気は自分にはないかもしれない。

精神科と処方の告発内容怖すぎ。
こんなんリアルにあるんや。

これつまり検査自体はほぼ確実に陽性を見分けられるって事やよね。タネが単純な差し替えだったと。てことはこのドキュメンタリーは正に奇跡。全部のタイミングが重なって出来ている。

逆にもともとの企画内容が破綻してしまっているがそれがまたリアルで極めて柔軟な制作に尊敬する。ドキュメンタリーの魅力を感じた。

暴かれた事実がもはや映画よりシネマティックな途方もない闇を含んでいる。

終盤、メディアにフォーゲル監督との接触がバレた時怖すぎて震えた。

当時出場停止処分のニュースを見てて"あそーなんや"くらいに思ってた。こんなに大きい、大きすぎる問題だったとは。オリンピックを超えてスポーツの意義そのものを脅かしかねない。

正に『イカロス』
蜜蝋で固めた翼で太陽へと向かうロシア。
その太陽がまさか戦争へと変貌してしまった現在。堕ちなくてもいいからこれ以上近づき過ぎないで欲しい。

この作品がアカデミーを獲ったのはもちろん心から納得できるが、そのアカデミーの挑戦性に驚いた。だいぶやばい。

まずドーピングってこんなに大変なんや。
シンプルに痛そうすぎ。
これ続けるのは無理。

スタノドロールの注射薬怖すぎやろ。
「その薬に大金を投じた彼に助言を求められた」
「捨てろとしか言えないね」

てかそもそもドーピングってまじで効果あるんや。しかもこんなに。20%のパワーアップてやばい。

これだけしても上には上がいて、トップアスリートてほんまに凄いんやなと。

まずこのオートルートの大会キツすぎ笑

そもそもの企画にWADAの所長が手伝うっておもろいな。それも紆余曲折があってやから凄い。

編集が素晴らしい。
特にボトルの輸送、開封アニメーション。

最初断ったUCLAオリンピック研究所の設立者、ドン・キャトリンやっけ?めちゃんこ変な言葉遣いをする。好かん。

海外の陽気な時のジョークは好きやけど不利な状況におけるヒロイックで大袈裟な言い回しだいぶ苦手。

確実に今まで観たドキュメンタリーで
比べるまでもなく最も"凄かった"

純粋に怖すぎ。
読んでくれてありがとう。

めっちゃ関係ないけどロシアの国歌のメロディラインすごい綺麗。

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近日のウクライナ侵攻について。

色々考える事あるけどやっぱり常任理事国の拒否権問題はどうにかした方が良い。誰がどう見ても意味が分からない。

現地の状況やムーブメント、より直接的な接触をSNSで観る事ができる時代に驚く。SNSの有意義な側面を実感した。

日本すっごい判断難しいけど、ここまで来たら何をしても納得は得られにくいだろう。どうせそうなら如何に立ち回るかよりまずは倫理観と真摯に向き合って欲しい。

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「偽りがまかり通る世界で
 真実を伝える事は
 革命的行動となる」

「結果を残せたら何を得られる?」
「バカの称号」

「危険だと考えるかは君次第だ
 薬物を試すのは君なのだから」

「テストステロンは
 粘着性の強い物質だから
 吸い出すには太い針が必要なんだ」

「感じたことのない力が日々湧くと思うよ」

「それはなんなんですか?笑」
「君の不純物、君の罪だ」
笑笑

「撮影には注意しろ
 許可されてないポルノと一緒だ
 スポーツ・ポルノだよ」

「君の勝利は運命だ」

「ロシアは世界一安らげる国だ」
「本当に?」
「いや」
「アッハッハ」
すごいな。

ここまで普通に観るの楽しくてまさかここからあんな事態になっていくとは思いもしなかった。

「そのために私を刑務所から出した
 埋め合わせさ」

「彼はアスリート製造人」
凄いワード。

「彼を失脚させた?」
「そうなるが私は代表チームを
 低品質な薬から守っただけだ」
同情はするけど"だけだ"はちゃう。

「水の中で血が模様を描いていた」

"無知は力"

「ロシアでは本の執筆は危険だ」

「"心臓発作"なら別だが」
何その怖い台詞。

「"裏切り者による中傷"とプーチンは一蹴」
いや凄いな。

"未来にしろ過去にしろ
自由な思考ができる時代"

"真実が存在し、後戻りのない時代"

「彼は自分と政府を混同している
 事実無根でただの憶測だ」
一文目には飲み込める部分がある。

「君はMサイズの怪物だ 私を忘れるな」

"皆が嘘を受け入れれば
その嘘は事実となる"

「彼の名前すら思い出せないね」
これはあかんわ。子供やん。

「二重思考の理解にすら二重思考が必要」

「私の自由は奴隷だったのだ 最後まで
 それが真実だ」

"その規模を推し量る事は不可能"
友二朗

友二朗