想像の世界を人形の世界とつなげたうまさ
まず、本作が実話であることに驚いた。しかし、取材はあるにせよ、登場人物たちに寄り添いつつ想像を膨らませてつくっている感じが好きだ。
本作は、現代をどう生きるかを提示する作品ともいえる。
これまでの原理原則なら、想像の世界を離れろ、現実の世界で戦えとなる。例えば、電車男は、掲示板とさよならするわけだが、必ずしもそう単純なオチではない。むしろ、想像の世界を否定しない生き方を提示する。
しかし、それでいて、現実と向き合う勇気や、大切なものが近くにあることを教えてくれるラストがいい。
本作の評価が低いのは、アニメやマーベルを見慣れた人には物足りないのだろうか。正直なところ、そういう作品をあまり普段観ないから楽しめた部分もあるのかもしれない。