シネマスナイパーF

OVER DRIVEのシネマスナイパーFのレビュー・感想・評価

OVER DRIVE(2018年製作の映画)
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正に拾い物バカ映画筆頭!
浅く描かれる同情票獲得欲丸出しの動機、主人公サイドと分かりやすく対照的な敵が一瞬見せる「相手に不足なし」な笑み…軽めのドラマと筋肉と熱量で押し切る80年代バカ映画を愛せる人になら、滅茶苦茶オススメ!みんな大好き記者会見での言葉の「どつき合い」が見れるよ!
意味なさそうな筋トレシーンが嫌いな人には、この映画合わないかもしれませんが、好きな人は、let's go!

脚本の隙や無駄を指摘され減点されていく哀しき宿命を背負うこと間違いなしの作品だと思われますが、力技の直球勝負がメインの一発病持ち投手に割と所々でズバズバ見逃し三振を食らわされ続けちゃって、終わってみれば爽やかな気分で劇場を立っていた、そんな気分


いやもうバカなんですよ
フェスなノリで踊り狂うNOWなyoungを映しながら、英単語の発音が凝っているテレビ実況の声が入る
手袋咥えた東出昌大が女の子の頬の汚れを取っちゃったりする
でも、こういう感じで観ていいんだなと割り切れて、これはこれでいい


正直やっぱりアレなとこ結構ある
thrillの頭文字はsじゃないってのをツッコミ役に直接言わせちゃダメそれはテレビ的お笑いのメソッド
そもそも、この台詞を放つプロモーション担当の女が存在として中途半端すぎて、はっきり言ってノイズです
メカニックチームも、タイヤ運ぶ奴?だけ中途半端にフィーチャーして、他の奴は癖の強さを小出しにするぐらいの扱いで皆味薄いし、タイヤボーイも半端すぎて結局薄い
しかし!確かなアガる脚本が、とにかく良いのですよ

直純が放つ、「涙でも足してな」的な台詞、これ、クライマックスで超効いてますよね!真っ先に涙を流すのは誰なのか
流してきた血と汗で目前のものを滑り落としてしまったとしても、この手がある限り諦めてはいけない、という通底するメッセージを、「"水没"したものを引きずり出す」という展開が更に熱くしているし、直純の隣に座り続ける男が、その体現者たり得ているということが分かる瞬間の快感!
反復する展開で、小出しにされたアクションや台詞を効果的に使えているのもグッド!篤洋が直純のドア閉めを止める時の二人の応酬が変わっていく様子!そして、しつこいぐらい挟み込まれる回想があるからこそ、篤洋のクライマックスの台詞に重みが出る!

電話して、ロッカーに忘れたスマホに気づき、そこからメッセージカードに辿り着く展開とか、鏡越しに二人の姿を見て、それを割るというビジュアル的演出とか、とても良いと思うんですけど!
まあ、メッセージカードの中身お前知らなかったんかいとか、そもそも二人を壊しちまったのは俺だ独白は鏡越し演出が素晴らしい分削っておくべきだったと思うんですが如何ですかとか!ありますけどね!


意外性や無駄の無さこそ評価に値すると言って、王道や分かりやすい展開に「やれやれ」したくない!俺は!
王道を征くことから「逃げない」、確かな演出で盛り上げていく王道こそ評価に値する!
邦画のオリジナルストーリーで、こういう良いバカ映画に出会えたってだけで嬉しくなるもんでしょ!漫画アニメ小説の映画化が乱発する中で、これを観れたこと、幸せに思う
真剣佑、パシフィック・リムより全然良かったよ