えむえすぷらす

ビール・ストリートの恋人たちのえむえすぷらすのレビュー・感想・評価

5.0
タイトルは直訳の方がいいと思う。なぜなら恋人二人の物語というのはそういう時期があったにすぎないから。二人のその先のエピソードがあり、さらに未来がというところである悪意が引き起こした冤罪で全てが変わる。
この物語はその先を、アフリカ系アメリカ人が受ける受難、絶望を描いている。でも絶望しているだけで終わる訳ではないというのがヤング・ファニーの時代での解消への願いなのだと思う。

監督は日常にある物語を見せる名手だと思う。本作はその上で絶望へとつながる事件を被せて見せている。時系列を推移して見せる手法は状況に対して感情をチューニングするのが難しい。このせいで余計に揺さぶられた面はある。

なお映画原題は原作小説タイトルと同じ。そしてボールドウィンはジャズ歌唱曲「Beale Street Blues」(1917)からこのタイトルを取った。テネシー州メンフィスにあるエンターテイメントの集まった通りの名前から取られている。