アンソニー

スリー・ビルボードのアンソニーのネタバレレビュー・内容・結末

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

一つの悲惨な事件も
その人の立場によって見え方が
全然違うし、抱く想いや感情、行動も
違ってくる。
そして、本来は犯人へ向かうはずだった
行き場の無い怒りや憎しみは
別の人々へと振るわれる。

色んな人物が出てくるのに
それぞれの立場がしっかりあって
その上、感情移入させるのが
上手いなぁと思いました。
各登場人物のエピソードが強烈なので
キャラ立ちもするし話に引き込まれるし
どこを切り取っても力強い映画でした。

看板一つでここまで物語を展開させるの
すごいですよね。
やれる事全部やってる感。
みんな被害者であり加害者。

看板という物語の切り口が
面白いし新しい。
自然に過去にどういう事があったのかを
説明しながら展開への土台となるの
上手いです。

あと、ラスト。
個人的には最高の終わり方です。
「なんか別に…」みたいなん大好き。
こういう物語は広げれば広げるほど
ラスト締めるのが難しい。
犯人を見つけて復讐を果たすってのも
何か違う気がする。
かと、言って犯人は見つかる事なく
今も探している…だけじゃ
締まり悪い気もする。
そこに少しのスパイスとして
同じような犯罪を犯している別人。
「ブチ殺しに行くぜ!
そんなに乗り気じゃ無いけど
ドライブしながら考えよ!」
みたいなノリ。
本編ではしんみりと描かれてるけど
こういう事ですよね。
大好き。