ぴよまろ

スリー・ビルボードのぴよまろのレビュー・感想・評価

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
3.8
娘を亡くした母親が、警察への抗議のために出した看板広告をめぐる、各々の怒りと赦しがテーマの物語。

犯人は誰か?というミステリーっぽい、実はヒューマンドラマな作品。そして物語の着地が予想外(どんでん返しという意味ではなく)。派手な何かがあるわけではないのに、これだけテンポよく引き込まれる物語は、脚本の妙だと感じました。

主人公ミルドレッドのキャラクターと、フランシス・マクドーマンドの演技が素晴らしすぎ。怒りの元は正当なものである一方で、行動や言動の過激さにより、次第に事件が大きくなっていき、引くに引けないという複雑な感情を、セリフではなく演技でみせてくれました。

そして対となる、暴力警官ディクソン巡査の成長も最高です。母に言われっぱなし、マンガ好き、極端なレイシストといった、大人になりきれないキレやすい大人である序盤から、最後には立派な大人になりました。キレやすく怒りまくっていた男が、最後には赦しを与える側になるというのが見事でした。

登場人物のほぼ全員の行動と言動が過激ですが、脚本の素晴らしさが印象的な作品でした。
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