ダイナ

スリー・ビルボードのダイナのネタバレレビュー・内容・結末

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

凄惨な事件を前提としているためユーモアは抑えたという内容ながら、観客を引っ張っていく脚本の上手さ、流れを遮ることのないブラックユーモア要素、復讐ターンの連続においてのやり返しの動機付けや各登場人物が何に怒り何に苦しんでいるかの発露が上手く描かれており、ショットにルックにカメラワーク含め映像的魅力・キャストの演技力・卓越した脚本と映画の魅力がとても詰まったマーティン・マクドナー作品の中でも現時点ベストと胸を張って言える傑作。

三つの看板による怒りの問題提起から始まり、主要三者の人生が苛烈に捻れていく様子には第三者視点の傍観者である周囲の人物や観客をも作中の問題に向き合わされます。カタルシスに欠けるであろうこのリアリティのある決着はこのストーリーの終着地点として自分にとってはとても腑に落ちるもので、歯車が噛み合わない諍いの応酬の果ての清涼感もあり濁った先行きに後味の悪さも感じるビターで想像に委ねられた結末がとても好きです。

BD特典の話。警察署から広告屋に殴り込み→窓落とし→道路でぶん殴りのワンショットの撮影方法が公開されていてとても面白かったです。ワンショット系の撮影アイデア、各者インタビューと目から鱗でした。1500円くらいなのでみんな買おう!特典見てて知ったのは素晴らしい演技を見せてくれたフランシス・マクドーランドってファーゴのジョエル・コーエンと結婚してたんですね〜。
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