ぺピノ

スリー・ビルボードのぺピノのレビュー・感想・評価

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
4.5
"Anger just begets greater anger."

ーーーーーーーーーーーーーー
東京国際映画祭にて。
二ヶ月くらい楽しみにしてたけど期待通り、かな。上回りもしないけど。

まだアメリカですら公開してないけど、トロントで観客賞取ったので、オスカー有力。シェイプオブウォーターとの争い。

ーーーーーーーーーーーーーー
やったらやり返される、っていう命題をしつこくしつこく問うたのがシャーマンキングで、大好きな作品だったけどジャンプの作品にしては重かった。この作品も同じ。そういう悲しい連鎖について。あるいは連鎖できないときの気持ちのやり場について。

もちろん最初に加害したやつが悪い。
黒人や同性愛者や障害者を差別するやつが悪い。人を属性で判断してはいけない。
人を殺すやつが悪い。犯罪に対しては報いがあって然るべき。
そして公益の担い手には当然これら規範に反しないことをより強く要請される。

だけど、周囲の人にはもちろん、そういう悪い奴らに対しても「倫理」は等しく作動する。そしてその名宛人は往々にして被害者。そういうときの復讐はSweet Revengeであるはずがない。
そういう歯痒さについて。自分にも向かう、属性で判断することを許さない諸刃について。

赦しなんて大仰なことではなく、地団駄踏みながらも歯を食いしばって我慢するそういう「共生の作法」。

ーーーーーーーーーーーーーー
僕は法律を学んでいるので、そんなものはうるさい。適法な行為は非難に値せず、罪には罰を。話はそれからだ。と思って悶々としたよ。

悪いやつなんてはっきりしてる世界なのにどうして中和してしまうの、そんなの愛を履き違えてるよ。
ぺピノ

ぺピノ