ほりはる

スリー・ビルボードのほりはるのレビュー・感想・評価

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
4.6
私たちはいつだって簡単に白黒つけて、さも当然のように人を悪者にしたてあげる。
でも、本当はそんなことどうして出来ようか?
自分の弱さを隠すため、他人になすりつけたり、見ないふりをしたり。
あなたの全てが悪い、なんて、言い切ること、誰もできないはず。

逆にいえば。
どんなに悪者に見えたとしても、ふとした時の優しさを持っている人かもしれない。
この人のことが好きだ、と思える瞬間があっという間にくるかもしれない。

人生はグレー、という言葉が蘇る。
例えば被害者家族である主人公の行動全てが決して正義として描かれているわけではないし、正義そのものであるはずの警察もまたしかり。

3枚の真っ赤な看板の裏でうごめく、どろどろとした怒りや妬みや後悔。ただの看板のはずが、何故か恐ろしいほど美しく佇む。
窮屈なアメリカ社会の縮図のようなストーリーに、目を背けたくなった。
でもそこから前に進む時は、昨日までの敵からのちょっとした優しさや、わずかな希望、赦しがきっかけだったりもする。

あの時のように、オレンジジュースを渡せる人間でありたい。
ほりはる

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