くるぶし

スリー・ビルボードのくるぶしのレビュー・感想・評価

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
3.7
「なんの前情報もなく見に行って!」という周りからの圧を感じて本当に無の状態で見に行きました。
久々に映画らしい映画を見て肌が粟立った〜。
不完全な人間たちが悲しみや憎しみをたぎらせてもがき苦しむという無様な姿を眈々と描いているだけなのに、最終的にミントガムを口に放り込まれたような爽やかさをいざなう終着点。なんじゃこりゃ。

誰もが言うように、娘をレイプされ殺害された母親の復讐劇を主軸にしつつ、圧倒的に倫理観が欠落した人間の多面性を様々な角度からあぶり出していく流れるような脚本は秀逸です。芯を刺さずに実際に起きた過去の事件をチクリチクリとエンタメ的に昇華している点もおもしろかった。

ただ個人的には、彼、彼女らがやったこと(やろうとしていること)は許容できないし肯定していいものではないよな、と最後まで引きずってしまった。手放しですばらしかったと賞賛するのはちょっと違うんじゃなかろうか…。
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