警官が記者から差し出されるオレンジジュースと、女が警官に「あんた以外に誰がやる」と言われることは、パラレルになっていて、つまり、告白して許されることの反復。
終わってみれば、この映画は、この二人をどう救うんだ、という話だったわけだ。
【以下、ネタバレ】
だから、犯人は捕まらない。捕まったって、終わらないんだから、作り手はこうするしかなかった。
オットの頭をボトルで叩き割らなかったところで、女は、もう変わりつつあった。
ライフルを鼻に押し当てるサムロックウェル、彼も自殺寸前までいってた。バッジは失くしたと言い張る彼は、警察に帰れると思ってたはずだもの。彼も、主人公に「バカ」ではなく、人間としてあつかわれることで救われる。
二人は、たぶん帰還兵は殺さないだろう(「あんまり、、、」)。何かはするだろうけれど。
死んだ娘と、警察署長のヨメと、元夫の若い彼女が、だいたい同じ顔なのって凄くないですか? あれは、暴力にさらされているのは、集合としての「女たち」なんだということだろうか。
この監督は、ジョークで何かを語れるふりをして、結局ジョークで終わる、というのが、前作、前々作を見た評価で、「子供」なんだと思ってたけど、これは見事な寓話を作ってのけたものだと思った。