派手な映畫ではないが、各ゝが良いキヤラクタアをしてゐる。私はウデイ・ハレルソンが出演してゐるといふ事で視聽したのだが、それ以外にも夲當に魅力的な登場人物が出てきた。
娘がレイプされ復讐心で一杯のミルドレツド（フランシス・マクドヲマンド）が、搜査が遲ゝとして進まない現状に怒り、廣告會社に依頼して參枚の看板を立てる。その看板の内容が警察、特に署長のウイロビー（ウデイ・ハレルソン）の責任を問ふものだつた。ここから話が展開していく。
此作品のテヱマは「赦し」だと思ふ。主人公のミルドレツド、第二の主人公とも云ふべき暴力白人警官のデイクソン、此二人の怒り、憎しみ、さうしたものが最終的に溶解していく。最後のデイクソンの問ひかけに對するミルドレツドの返答がそれを物語つてゐるやうに思ふ。
さて、此作品には今のアメリカの社會的背景を上手く注入されてゐる。神父にミルドレツドが反論した内容は、教會神父による兒童への性的虐待を背景にしたものだし、黒人に對する暴力、他にも米兵がイラク人の少女を強姦した後に燒いたといふ事件を參考にされてゐる。かうした社會的に難しい話を作品に注入した上で、「赦し」といふ結論にもつていくのはなかなかの荒行だつたかと思ふが、觀終えた後はきつと心地よさを感じてゐるはずである。
