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スリー・ビルボードのYYamadaのレビュー・感想・評価

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)
4.1
【戴冠!ゴールデン・グローブ賞】
 ~オスカー前哨戦を制した作品たち

◆第75回(2017)G.グローブ作品賞受賞
 (ドラマ部門)
◆同年のアカデミー作品賞
『シェイプ・オブ・ウォーター』

〈見処〉
①抜群の脚本!最後まで予測不能な
 ストーリー
・『スリー・ビルボード』(原題:「Three Billboards Outside Ebbing, Missouri」=「ミズーリ州エビング郊外の三枚の広告看板」)は、2017年に公開されたドラマ映画。
・舞台はアメリカミズーリ州にある(架空の町)エビング。数ヶ月前に娘をレイプ殺害された主婦のミルドレッドは、警察の捜査に業を煮やし、町はずれにある巨大な3枚の看板に抗議の広告を設置する。
・それを快く思わない警察や住民とミルドレッドの間には埋まらない溝が生まれ、事態は思わぬ方向へと転がっていく…。(eiga.com抜粋)。
・本作は予測不能なストーリー展開により、批評家から高く評価され、ゴールデン・グローブ作品賞受賞を皮切りに、ベネチア国際映画祭、トロント国際映画祭などの賞レースを席捲。第90回アカデミー賞では、フランシス・マクドーマンドが2度目のアカデミー主演女優賞を受賞。また、警察署長役のウッディ・ハレルソンと差別主義者の警察官役のサム・ロックウェルの2人が助演男優賞候補となり、ロックウェルが受賞を果たしている。

②「先入観」ほど恐いものはない
・本作は、街の郊外に設置された「3枚」の広告看板に対して物語が進展していくが、その過程にて「3人」のキャラクターに対して焦点が移っていく。
・冒頭パートの主人公はフランシス・マクドーマンド扮する主婦のミルドレッド。娘を失った母親の心情が描かれ、住民から排他される彼女に対して、鑑賞ものは同情を強くする。
・中盤ではウッディ・ハレルソンによる警察所長に焦点が当たる。お役所仕事に見えていた彼であったが、誠実で人情深く、大きな苦悩を抱えていたことが露呈される。
・終盤は、サム・ロックウェル扮する差別主義者の警察官の物語。クズ警官である彼の行動によって、鑑賞者の善悪の価値観が大きく揺さぶられることになる。
・ぜひ「先入観」なく、鑑賞を楽しみたい作品である。

③結び…本作の見処は?
○: ラストシーンまで物語の行き着くところの予想が出来ない、非常に良く出来た脚本。
○:物語が進むにつれ、 焦点はキャラクター3人の間を移っていく。「善意」とは何か?鑑賞前後でこれほど主観が変わる映画は珍しい。
○: クズ警官を演じるサム・ロックウェル。本作序盤では「これでアカデミー助演賞?」と感じるくらいの端役が見せる終盤の存在感は見逃せない。
○: 出演作は重厚なドラマからゾンビ映画まで。また、評価もゴールデン・ラズベリー賞からアカデミー・ノミネートまで、非常に触れ幅の大きいウディ・ハレルソン。本作の出演時間は限定的なれど、存在感を発揮している。ウディ・ハレルソンにアカデミー賞を!
▲: ラストシーン以降の物語は鑑賞者の想像に委ねられているのだろうが、その後のストーリーは気になって仕方がない。
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