Ginny

ダンボのGinnyのレビュー・感想・評価

ダンボ(2019年製作の映画)
1.8
1941年のアニメーションの傑作から、なぜこの実写化を計画し、実行したのか謎でしかない。

アメスパでも感じた出来レース感をまた思い出した。
制作費も宣伝費もネームバリューも心配いらない。飢餓感がない、どうしてもこれを実写化したという熱もない、映画に対する情熱がない。
表面の薄っぺらい演技で、キャラクターを演じているけれど、情熱がない。能面的でちょっと演技ができる子役を配して、いかにもな「子供と親」「子供と象」の心の通わせ方、ハートウォーミングにしようとしているけれど見え透いていて、興ざめというか入り込めません。

1941年のダンボは64分。本作は2時間近く。
何をそんな間延びさせる必要があるんでしょうか?

何よりも改悪としか私の中では思えなかった『Baby mine』の使い方。
びっくり。目が点でした。

筋金入りのダンボ好きというわけではなく、2017年秋、私の中で未曽有の腹痛に襲われたとき、ダンボが心の支えとなってくれた。

黒い便が出て、めちゃめちゃおなかが痛くて泣けてきて、通院して薬を飲んでも治らず、セカンドオピニオン、検査をして大病院を紹介され、1度の採血で4本もとっていろんな難病の検査を受けたり、何度もCTを撮ったり、いつしか足に謎の湿疹が増え始め、歩くことが困難になり、横たわるしかできなかった頃。治るのかも、何が原因の腹痛なのかもわからずCRPが14から下がらない。
今振り返ると、その期間は2か月にも満たないし、略治してその後症状はないから大丈夫だけれど、その真っただ中はとにかく不安で不安で。
夜に急に高熱が出たときは、翌朝目覚めることができるかすら怖かった。
その時わたしは、ダンボを大人になってはじめてきちんと見て、とっても癒されました。特にBaby mineのシーン。こんな名シーンがあるのか。
今でも、癒されたいときに見るくらいお気に入りです。
夜、寝る時はオルゴール動画を見て眠りについたり、横たわるだけの時もBGMにしていました。

母象と離され、同僚の象に馬鹿にされて、サーカスの人間に笑いものにされ、観客に笑われて。
そんな辛い状況で、お母さん象に会えることを嬉しそうに軽快な足取りで向かって、ママに会えた時。そんな時、ダンボの目からは涙が溢れます。
ママがお鼻で可愛がってくれて、安心させてくれる。

その美しいシーンは、とても心に沁みいります。

それを、この実写映画は軽く扱い、ま、やっときゃいいっしょという感じでカバーしてエンドロールにも使っています。
何これ!?と憤慨の気持ちでしたが…
ダンボはめちゃめちゃ可愛かったです。
ほんとにほんとにダンボは可愛かった。すんごい可愛かった。
ダンボは悪くないです。

それに文字の使い方とかマイケルキートンの演技とか、皮肉な演出とかティムバートンらしさも感じましたが、消化試合感が否めなかった。
今のディズニー映画製作の上層部の頭の中はどうなっているんですかね??????????????????
実写化すればいいと思うなよ。(ミニイクケド)

予定調和で、感動的な要素を配し(子供、親子の~とか、みんなで協力して~とか)、製作費と宣伝費を使って、チャンチャン。
これでは、消費されて使い捨てになってしまう。
ディズニー、大丈夫かー。と勝手ながら心配してしまう。

1941年のダンボを見て、安心しよう、そうしよう。
みんなも見てね。
ピンクの象、すごいよ。
Ginny

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