くりふ

レッド・エージェント 愛の亡命/愛の亡命のくりふのレビュー・感想・評価

3.0
【雪解けぬレベッカ】

出ずっぱりのレベッカ・ファーガソン美に浸れそう…との動機でレンタル。

2016年イギリス/カナダ製の劇場未公開作。まだ需要あるのか…と思うほど古典的メロドラマでした。レベッカが見事に嵌っているので退屈はしないが、お話は最後まで凡庸でした。

1961年、冷戦真只中のソ連にて、アメリカに情報を流さんとする諜報員たちが、諜報戦に愛が絡まり苦悩する。要は、ハニートラップの筈が本気になっちゃいました…というお話。いやーん古典的。

原題は「雪が降っているにもかかわらず…」的な意味らしい。冷戦下の、禁断の愛を指しているよう。

一味違うのがこの時、関係者が受けた大傷を、1992年のペレストロイカ以降の物語から振り返っていること。次世代の子供たちが、親世代が抱えた謎を解こうとするんですね。

でも、物語の面白さとして見れば、大したことは起きません。冷戦下の愛と、“雪解け”以降の愛を対置したのが新味でしょうが、後者が妙に軽い。両者が等質の重みを伴えば、人は常に、愛に縛られる…というのっぴきならぬドラマとして惹き込まれたことでしょう。

レベッカが二役を巧くこなしているが、ヤングレベッカが実は…みたいな真実が明かされるわけでもなく。…別人でもよかったのでは?ミスリードしたかったのなら、明らかに失敗でしょう。

それでも嫌いになれないのは、圧政下の凍えるモスクワで、苦悩する女を演じるレベッカに見事な説得力があることです。ブスでも演技力があればいい役となったでしょうが、雪の中でより際立つ、生々しくも切ない、彼女の美しさが加わると最強です。

この役どころのレベッカで、違う物語を見てみたくなりましたね。

<2019.2.4記>
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